同じマウスを8年使っている。ロジクールのトラックボール、MX ERGO。
途中でボディが加水分解してベタベタになった。普通ならそこで買い替える。自分はAliExpressで交換用の外装を取り寄せて載せ替え、ボールも社外品に交換して、今もこれで仕事とゲームをしている。
そこまでして使い続ける理由と、8年使った道具を日割り査定するとどうなるかを書く。

① 結論:どういう人が買うべきか
先に結論だけ書く。
- マウスで手首が痛い人は、選択肢に入れるべき。自分が8年使う最大の理由がこれ
- 机が散らかりがちな人にも効く。本体を動かさないので、マウスパッド分のスペースが要らない
- 精密なエイムが必要なFPSガチ勢には向かない。トラックボールは「楽」のデバイスで、「速さ」のデバイスではない
- 埃の掃除と、いつか来る加水分解は覚悟しておくこと。それでも自分は交換してまで使っている
- すでに持っていてベタついてきた人は、④の弱点②から読んでほしい。予防でできることと、外装を交換した記録がある。
② 筆者の前提(トラックボール4台の遍歴)
きっかけは、長時間のマウス操作で手首が痛くなったこと。仕事でもゲームでもマウスを握っている時間が長く、改善策を探してトラックボールに行き着いた。以来、通算4台を使ってきた:
- Logicool M570t:初トラックボール。MX ERGO導入後は帰省用の持ち運び役に回っていたが、片付け途中の棚の崩落に巻き込まれてボディが壊れた。みなさんも部屋はきれいに片付けておくことをおすすめする
- Logicool MX ERGO:メイン機。2018年1月に購入して9年目、この記事の主役
- Logicool M575 と エレコム IST:壊れたM570tの後継として、サブのノートPC用にどっちがいいか両方買って試した
- 結果、M575が残留。ISTは手放した
ISTを手放した理由は2つ。自分の手の形にあまり合わなかったこと、そしてベアリングの回転が引っかかることがあって操作感が良くなかったこと。ISTは支持球の代わりにベアリングでボールを支える方式で、これを目当てに買う人も多いけど、自分の手には合わなかった。
サブ機候補を「両方買って試して片方売る」のは我ながら散財だが、おかげでこのブログが書けている。手放したISTの売値は別記事(手放した機材のリセール査定)でまとめる予定。
③ 親指トラックボールとは何か(30秒でわかる版)
マウスは「本体を動かして」カーソルを動かす。トラックボールは本体を固定したまま「ボールを転がして」カーソルを動かす。MX ERGOは親指でボールを操作するタイプだ。
これで何が変わるかというと:
- 手首と腕がほぼ動かなくなる。カーソル移動が親指の運動だけで完結する
- 設置スペースが最小になる。本体を滑らせないので、マウスパッド分の面積が不要
- 代償として、細かいカーソル移動には慣れが要る。慣れるまでの期間は個人差が大きい
MX ERGOはさらに本体の角度を0度/20度で切り替えられて、20度に傾けると手首がひねられず自然な角度で置ける。
④ 実録(ここが本編)
良かったこと:買った日から変わらない価値
大画面でのカーソル移動が楽。親指を滑らせるだけで4Kモニターの端から端まで届く。本体を動かさないから、机の上に物が増えても運用が破綻しない。散らかりがちな机ほどトラックボールの省スペース性が効く、というのが9年目の実感。
あと、サブ機のM575と毎日打ち比べる立場から言うと、ボールの回転はMX ERGOの方がなめらか。ペリックスの社外ボールに変えても、この差は残った。値段差の一部はここに乗っている。
仕事でPC操作や手を動かす作業が多い日は、通常のマウスより腕や手首を動かさなくていい分、負担がかからなくて助かっている。ただ、使い始めは親指操作に慣れておらず、親指の方がちょっと痛くなっていた。慣れる時間は必要。
なお2026年7月時点で、Logicool公式サイトに旧MX ERGOの掲載は見当たらず、
MX ERGO Sに切り替わっている。
弱点①:ボール支持部にとにかく埃が溜まる
これは構造上の宿命。ボールを支える3点の支持球の周りに埃が溜まり、放置するとカーソルの滑りが悪くなる。定期掃除は必須。
掃除は気になったらやる程度で、自分の環境では週1〜2回くらい。裏の穴から細めのペンを突っ込んでボールを外し、ティッシュで拭き取れば回復する。1分もかからない。

弱点②:そして6年目、ボディが加水分解した
ゴム系コーティングの宿命で、長く使うとボディ表面が加水分解してベタベタになる。MX ERGOも例外ではなかった。
なぜこうなったか
正直に書くと、5年間まったく気を使っていなかった。加水分解という現象自体を知らなかった。
- 濡れた手のまま触っていた
- アルコールスプレーで消毒や掃除をしていた
- 汚れたら布で擦っていた
どれがどれだけ効いたのかは分からない。ただ、この3つを5年続けた結果がこれだ。
なお、アルコールが加水分解に影響するのかは調べても分からなかった。 加水分解は水分との反応で進む現象なので、そこは別の話かもしれない。

上が交換前、下が交換後。交換前は表面全体が荒れて、擦れた跡が広範囲に残っている。
やらないほうがいいこと
調べてみると、加水分解は水分との反応で進む現象だった。だから予防として書けることは少ない。やらないほうがいいことしか書けない。
- 濡れた手のまま触らない
- 水分や汚れを残さない。 汚れが水分を含むと、そこから進むとされている
逆に言えば、拭くこと自体は悪くない。 濡れたまま放置するのが良くない、ということらしい。
ただし空気中の湿気だけでも反応は進む。 高温多湿ほど加速するので、日本の夏は条件が悪い。完全に防ぐ方法は無いと思っている。
なお、削ってベタつきを取る方法もある。 自分は外装を交換したので試していない。
自分は6年目で交換した。買い替えるか、削るか、そのまま使うか、交換するか。 自分は「手首の痛み対策でこれを超える選択肢がまだない」と思ったので交換を選んだ。
交換したのは6年目で、そこからさらに2年半以上使っている。 加水分解は寿命の終わりではなかった。
外装交換の実録(AliExpressで4,329円)
AliExpressで「MX ERGO シェル」「MX ERGO 外装」あたりで検索すると、ボディ部分のみを購入できる。送料込みで4,329円、注文から2週間ほどで届いた。あとは分解して中身を載せ替えるだけ。分解には精密ドライバーセットが必要で、ネジはトルクスの6番。
手順はこう:
- 裏面のネジを外す(トルクスT6)
- 本体裏の穴から棒を入れてボールを外す
- 本体の隙間に細いプラスチック(いらないポイントカードや、あればピック・スパッジャー)を差し込んで、上下のボディを分離する
- 本体底部と上部を繋いでいるリボンケーブルを外す。コネクタの黒い部分を上に起こすと抜ける

- バッテリーのコネクタを基板から外し、周りのネジを抜いてバッテリーを外す
- 基板周りのネジを外していく。ボールカップの固定ネジが基板の下に隠れているので注意

- ホイールを外す
- 基板を外す。裏にもう1枚基板が隠れているので注意

- 本体上部の基板も外す。これでボディ以外の部品が全部外れる
- あとは逆の手順で新しいボディに移し替えていく
道具さえ揃えば、順番にネジを外していくだけの作業。コツと注意点は3つ:
- ネジが細かく小さいので、なくさないように(自分は分解のたびになくしている)
- リボンケーブルを固定している黒い部分に強い力が加わると折れる。ここが一番の事故ポイント
- 分解すると、写真にところどころ写っていて恥ずかしいが、細かいところに埃が溜まっているのがわかる。一緒に掃除しておこう
ついでにボールをペリックス製に交換した。いろんな人のレビューで言われている通り、回転のスムーズさが違う。純正で時折気になっていた引っかかりがなくなる感じ。
注意書き:分解・外装交換はメーカー保証の対象外になる。真似する場合は自己責任で。自分の場合はすでに保証が切れて久しい個体だったので、失うものがなかった。
⑤ 日割り査定(8年使うとこうなる)
ここからが当ブログの本領。
計算式
維持費込み日割り=(購入価格 + 維持費)÷ 経過日数
今回はリセールを引かない。8年使った個体に売値はほぼ付かないし、売る気もないので。
MX ERGO本体
- 購入価格:12,040円(2018/1/7購入)
- 使用期間:8年7ヶ月(3,144日)経過、なお現役
- 維持費:交換外装 4,329円(2023/6/7)+ペリックスボール 2,698円(1,199円+1,499円の2色分、同一品は2026年7月時点で1,999円)
- 維持費込み日割り:1日あたり約6.1円
ここまで長く使うと、ガム1枚分の値段より安い。
査定コメント
ガジェットの当たりかどうかは、結局「何年使ったか」でしか証明できないと思っている。スペック表は買った日が一番輝いていて、日割り価格は使った日数だけ下がっていく。8年使った道具は、それだけでレビューとしての説得力を持つはず。
インデックス投資みたいに長期保有で売却価格が上がるわけじゃないけど、自分にとっての価値は上がるよね。
⑥ 最終判断
| あなたが… | 判断 |
|---|---|
| マウスで手首・腕が痛い | 買い。8年使った人間が保証する |
| 机が狭い・散らかりがち | 買い。省スペース性は想像以上に効く |
| FPSで精密エイムがしたい | 見送り。トラックボールは「楽」のデバイス |
| 埃掃除が絶対に嫌 | 見送り。定期掃除は宿命 |
▼ Logicool MX ERGO S(後継機)
※自分が8年使っているのは旧モデルのMX ERGO。Sは使っていない
※新品で買うなら現行モデルの仕様を確認してから。M575もMX ERGOも、
自分が買ったときからモデルが変わっている。
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⑦ 補足:デスク全体の省スペース戦略
MX ERGOの省スペース性は、テンキーレスキーボード+RT1テンキー別置きの構成(GX1 vs K8 HE比較記事で書いた)と組み合わせると真価を発揮する。マウスが固定位置から動かないので、デスクのレイアウトを完全に設計できる。



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